私は、タイのマッサージを疑っていた。

スポーツストレッチの仕事をしていたこともあるし、腰やアキレス腱などケガをしているところもあるので、やみくもに全身をぐいぐい押されるのは怖いと思っていた。

でもホテルの近くのちょっと小綺麗なスパでフットマッサージを受けたところ、コスパに感動。帰国前にもう一度マッサージ屋さんに行きたいと思っていた。

タイの案内をしてくだすったマメコさんに、おすすめのマッサージ屋さんを聞いたところ、

 

「ヘルスランドがいいですよ」

 

 

「……ヘルスランド?」

 

 

「はい」

 

 

「………………ヘルスランド!?」

 

二度聞き返してしまう名前のこのお店は、タイマッサージのチェーン店。

豪華な施設でのマッサージが手ごろな値段で受けられるので、観光スポットのひとつになっているよう。

http://www.healthlandspa.com/

 

ヘルスランドへGO!


私たちは、バンコク・プラカノン駅の目の前にある「ジャスミンリゾート」に泊まっていたので、スカイトレイン「BTS」に乗って10分ほどのアソーク駅にあるヘルスランドへ。

入り口は若干B級スポット感。

でも中に入ると豪華!

 

シロダーラを初体験!


「ヘルスランド」のメニューには、タイマッサージをはじめ、オイルマッサージ、スチームバス、シロダーラなどがある。

ツレ彦はアーユルヴェーダをインド人の医者から本格的に習ったことがあり、「日本でやるよりは安いから、シロダーラをやったほうがいい!」とオススメするので、人生初のシロダーラを体験することにした。

 

シロダーラとはアーユルヴェーダのひとつで、「第三の目(第六チャクラ)」と呼ばれる額の一点に温かいオイルをたらし続け、心身を浄化するというもの。

体験した人の中には、「天狗が見えた」「自然と涙が流れた」等の感想を書いている人もいて、なかなかのスピリチュアルな施術である。

 

「ヘルスランド」でのシロダーラの値段は、1時間2000バーツ(約7000円)。

……たっか!

「ヘルスランド」のタイ古式マッサージは1時間換算で300バーツ(約1050円)、街でやっている小さなサロンでは1時間200バーツ(700円)程度でマッサージが受けられるので、それと比べると鬼高い。

日本でシロダーラができる施設はあまり多くなく、「ヘルスランド」のシロダーラは日本と比べると多少安めかなといった値段。

 

私は普段、「ラフィネ」の当たり障りない80点のリフレクソロジーを愛していて、スピリチュアルなボディケアにはいまいち縁がない。

どちらかといえば、ビーチヨガをしている様子を自撮りする美人を鼻で笑うタイプの、ジャンキースピリット栗子である。

でもせっかくのチャンスなので、シロダーラに初挑戦することにした。これを機会にジャンクなスピリットを浄化して、底意地の悪い性格を治せるかもしれない。

 

できれば予約したほうがいい


私たちが行ったのは月曜日だったんだけど、それでも比較的混雑していた。

特にシロダーラは待ち時間が長く、40分くらい待った。土日とかは予約しないと入れないかも。

ロビーで待っているとマイクで名前が呼ばれて、担当のおばちゃんが施術する部屋まで連れて行ってくれる。

 

対面でオイルマッサージ


個室に入ると、服を全部脱いで紙パンツを履き、タオル一枚になるように言われる。

言われたとおりにタオルいっちょで座って待っていると、おばちゃんが入ってきて頭・首・肩をオイルマッサージしてくれた。

座位のマッサージって後ろからされるイメージだけど、おばちゃんは前から押してくれる。

おばちゃんの胸や腹がずむずむと顔に当たるスペシャルサービスだったけど、おばちゃんは気にしていない様子。

 

三十路のツインテール


オイルマッサージが終わると、おばちゃんが私の髪の毛をツインテールにまとめてくれた。

たぶん寝転がったときに邪魔にならない髪型なんだと思う。

三十路も中盤に差し掛かったわたくし。遥か20年前にさかのぼってもこの高さでツインテールをした記憶がない。

スクールカースト上位の可愛い子だけが許されたツインテール。私は今、20年の時を経てバラモン女子に昇格した。

気恥ずかしいような、まんざらでもないような気分になる。

 

 いざ、シロダーラ!


ツインテールにタオルいっちょという姿でベッドに上がり、いよいよシロダーラ初体験!

バーで吊るされた金色の壺の下に頭を置いて、おばちゃんにオイルを注いでもらう。

スパゲッティくらいの細さのオイルが、チ~と額に注がれる…

…………イッィィィィィ!!!!

こそばゆい。

眉間に人差し指を当てがわれている感じというか、舌でちろちろとおでこの一点を舐められている感じというか……

 

気持ち良いかどうかと言われると…

気前よく2000バーツをおごってくれたツレ彦に気を遣わずに…

自分の心に正直になってみれば…

まぁ…

どっちかっていうと…

気持ち悪いデッス。

 

「天狗が見えた」「自然と涙が流れた」「リラックスして瞑想状態になった」など、ネットで見たポジティブな感想が思い浮かぶ。

リラックスどころか、体中に力を入れて「我慢」の状態になっている私。

チャクラに汚物でも溜まっているのだろうか。

 

 きっとそのうち気持ちよくなる


せめて体のどこかを刺激してくれたら、気持ちよくなるかもしれない。

おばちゃん、プリーズ、どこか押して!この際押さなくてもいいからどっか触って!

と願うものの、おばちゃんは一向に体に触る気配はなく、たまーにオイルを当てる場所を1センチほどずらしてみたり、ゆらゆら揺らしてみたりしている。

おばちゃんの仕事、えらいミニマルですな!さっき私の体をあんなに大胆に押したじゃない!

 

2000バーツもしたし(←邪念)、ツレ彦に「ちょっと栗ちゃんには難しかったかな、フッ」とか思われるのも悔しいし(←邪念)、なんとか快感を得たい。

そこで、こそばゆさを「気持ちよさ」に脳内変換することにした。

シロダーラはハァハァしながら受けるものではない。

そんなことはわかっているけど、もうこうするしか手段がない。

うっかり違うとこが開きそうで、インドの神様のバチが当たるのではないかと思ったけど仕方ない。

 

あれ、やや気持ちよくなってきたかも


15分ほど経って、はじめは冷たかったオイルが温かくなってきたあたりから、少し気持ちよさを感じるようになる。

ぐーっと深い睡眠に入って、ちょっと夢を見て、目覚めて、みたいなのを繰り返し始める。

マッサージの気持ちよさとはまた別の不思議な感じ。でも天狗は見えなかった。涙も出なかったけどヨダレは出た。

 

お目覚めスッキリ


オイルを垂らしていたのは、たぶん40分くらいだったと思う。

おばちゃんがベッドの上でもう一度マッサージをしてくれる。肘でゴリゴリと肩を押し、腕や首をあっちこっちに引っ張ってくれるので、お目覚めスッキリ。

ボディをオイルマッサージするわけではなかったのに、半裸になったのはなぜかしら。

 

シャワーを浴びて終了


最後は、部屋の中にあるシャワーブースで自分でシャンプーをする。

洗ってもオイルが落ちなく、ドライヤーをしても「乾いた」という感覚がないくらい髪の毛がテカっている。

 

髪のツヤと元気が出た


天狗は見えなかったけど、髪にツヤが出た。最近白髪が気になっていたので、これも治るといいなと思う。

わりとハードスケジュールだったタイ旅行だけど、帰ってからも元気いっぱい働いている。もしかしたら、こんなところにもシロダーラの効果があったかもしれない。