うちにGが出た時の話

その日はいつもどおりの夏の夕方で、私は仕事の合間にコーヒーを淹れたところだった。

休憩時間は、「コーヒーを飲みながらYoutubeでクレヨンしんちゃんを見る」…これに限る。Youtubeのマイページに表示されるおススメ動画は、クレヨンしんちゃん一色である。

今日はどのクレヨンしんちゃんを見ようかな〜などと考えながら、台所から仕事部屋に移動していたところ…

今景色の片隅に映った黒い影は…もしかして…アイツではないだろうか。

 

私の動揺に気づかれてはいけない。ヤツは私の殺気に気づいたら、音もなく姿を消すに違いない。

心臓の音が後頭部に響くくらい大きく鳴り、眩暈で目の前がチカチカしていたが、動揺しているのを精一杯隠しながら「アッ、ちょっと台所に忘れ物しちゃった〜」みたいな素振りで「黒い影」のところへ戻った。

間違いない。

Gである。

現在私は15階に住んでいるので、部屋にGが出ることはほぼない。Gどころか蚊も入ってこないくらい、虫とは縁のない物件である。

それが一年に一度くらい、どういうわけかGが出ることがある。宅配便の荷物にくっついてきたり、配管を上がってきたりするのだろうけど。

 

Gを生け捕りにするツレ彦


Gが出た時、ツレ彦の選択肢は「生け捕り」である。

気づけばこつぜんと姿を消し、走れば俊足、時にこちらに向かって飛んでくる忍者のようなGを、そこらへんのプラスチックカップを手にそ〜っと近づき、パカッとかぶせて生け捕りにし、外に逃がすのである。

こういう時の落ちつきぶりは、すぐパニックになってしまう私は大いに見習うべきなんだけど、Gを素手で生け捕りにできるなどGと対話しているとしか思えない。ツレ彦は何か特殊なアンテナを立てながら、虫と付き合っているのだろう。

 

栗のG対策


できる限りの不殺生を貫くツレ彦。

私もできるだけ殺生はしたくないと思っているし、虫を愛する男の嫁として虫を殺すのは忍びないという気持ちもあるのだけど、素手でGをカパッとできないので、「駆除」の一択である。

ツレ彦がいる時は「キャ〜!」とか可愛い声が出るのに、一人でGに遭遇した時の野武士のような心持ちはなんと形容したらいいだろう。

普段Gが出ないので、殺虫スプレーなどは置いていない。武器になるものは…

スリッパ。

これしかない。

 

スリッパは確実にGにヒットした。ポロリと壁から落ちる黒い影を、確かにこの目で確かめた。

ただヤツは、壁と家具の隙間に落ちてしまったのである。

Gと遭遇

武器をスリッパと決める

スリッパで戦う

というくだりですっかり疲労困憊してしまった私は、Gの回収をツレ彦に任せることにした。

しかし、である。

帰ってきたツレ彦が家具をどかしてみたところ…Gがいない。

どういうことか。確かにスリッパがヒットしたはずなのに…。私はいまだにその家具の前を通る時、恐々とした気持ちになっている。

 

そういえば、昔一人暮らしをしていたボロアパートは部屋がすき間だらけで、夏は三日に一回くらいのペースでGが出ていた。

G退治のスプレーが常備されていたので、テレビを見ながら「あっ、Gだ〜」くらいの呑気さでGを退治するという慣れっこぶりだった。なのに今はすっかり耐性がなくなっていて…習慣って不思議だよね。

 

 

 


2件のコメント

  1. お久しぶりでござます。yasです。

    以前、何かで見聞きした事があるのですが、生物には「危険遺伝子」というのがあるそうです。
    野生動物が本能的に火を怖がるアレです。
    マウスに桜の花の香りを嗅がせると同時に電気ショックを与えるという実験があったそうです。
    このマウスは桜の花の香りを嗅ぐだけで、心拍数が上がったり緊張感を持ったりと
    「恐怖反射」を示すようになりました。
    このマウスの孫、ひ孫の代には電気ショックの実験をした事はなくても、桜の花の香りを
    嗅がせるだけで「恐怖反射」を示したそうです。
    自分の先祖が「これは怖いのだ」と記憶すると、遺伝子にその情報が残るのだとか。
    普通の人が全く怖がらない対象を極端に怖がる人がいますが、
    ご先祖様が「ソレ」に関する恐怖体験をしたのかもしれませんね。

    ちなみにうちの家内はカエルが大の苦手です。
    我が家の周りは住宅街とはいえ、まだ全て開発し尽されていないので
    我が家から路地を二本隔てて田んぼが広がっております。
    春~夏にかけては我が家の庭や玄関はカエルフィーバーです。
    そして家内もある意味フィーバーしています(笑)

    1. yasさんお久しぶりです!コメントありがとうございます。

      「危険遺伝子」!まさに「そういうものがあるのかな〜」と漠然と思っていたものです!そのような名前が付いているのですね!
      生物はみな、そうやって子孫に情報を伝えながら、種として生き延びようとしているのですものね。
      やはり学習した情報、特に危険なことに関する情報は、遺伝するということなのですね。

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